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陳 泓博士(人間科学)

陳研究室の主宰者
第一工科大学工学部教授,
早稲田大学人間総合研究センター招聘研究員

陳研究室の主宰者陳博士。電気電子工学 (EE: Electrical/Electronics Engineer)の学士、情報システム (IS: Information System) の修士、そして人間情報科学(Human Informatics)の博士である。主に新しいデジタルメディアと人文科学の交差研究をテーマとする。

陳博士は人間を中心とする情報の個人化環境(human centric personal data model)を研究してきた。電気通信大学の仮想図書館、東京大学国立天文台ネットワーク図書館、早稲田大学のユビキタス個人書斎の実装など学習支援システムの個人化環境を中心に研究してきました。現在はAIによる顔認証と非接触型体温測定のクラウド健康情報サービスにUPODというDecentralized personal cloud data modelを採用して鋭意研究中。

これらの研究はIS、 EE技術を利用した実世界データの収集、クラウド蓄積、AI分析、実世界にフィードバックするようなCPS仕組みを利用する。さらにスマートホームデバイスの間相互にデータ通信できるようにするゲートウェイ、Donkeycarの自動運転シミュレーター、高齢者支援IoTサービス、ユビキタス・個人ストレージ、スマートホーム、自動運転情報システム、これらを網羅するスマートシティへの応用などにも取り組んでいる。未来のコンピュータのあるべき姿を探求する。


ユビキタス・パーソナル・スタディ(UPS: Ubiquitous Personal Study)

理想的な個人空間を提唱し、ユビキタス「個人書斎」に情報を集中して、いつでも、どこでも情報の共有、推薦できる環境を構築することが目的とする。UPSは分散型ノードです。UPSはネットワークを介して相互に自由に接続でき、新しい分散型ソーシャルネットワークを形成できる。

ユビキタス・個人ストレージ(UPOD: Ubiquitous Personal Online Data Store)

近年EE技術の力を借りてIoT技術の研究も取り込み、情報 と電気電子 の融合に基づくユビキタス・クラウド・サービスのモデルから「サイバー・フィジカル・コンピューティング」というコンピュータアーキテクチャへ進化した。UPODというユビキタス・個人ストレージを提唱し、実世界で生成された大量データに対し、サイバースペースのUPODに保存し、デジタル・ツイン(Digital twin)を構築する。これによりヒトの状態推定など人工知能の応用が可能になる。また状態推定は実世界にフィードバックして、Active Learning、Ubiquitous Health Care活用を見据えて応用展開を目標とする。

研究プロジェクト:

担当科目:

  1. C言語、C言語演習、C#言語演習
  2. ビジュアル・プログラミング(MIT App Inventor、MIT Scratch(スクラッチ))
  3. アルゴリズムとデータ構造
  4. Web検索
  5. モバイルコンピューティング(Mobile computing)
  6. IoT・AIシステム(IoT / AI system)

EXPERIENCE

ラジオ少年からエンジニア

小学校と中学校は、ラジオ少年だった。ラジオを作ったり、ラジコン飛行機を作ったり、電子工作に夢を託した。回路を設計し、プリント基板はペンキで描画、腐食して作り、トランジスターを半田付けして繋ぎ、テスターで検査する程度の手つくりだった。トランジスターの限界を超えて、如何に高出力を得る、そして高い周波数でも動作するにはいろいろ工夫が必要だった。また電子楽器に興味も示し、アナログから作り始めった。音高を合わせるため、抵抗を少しつづ削ること方法を取り、キーボードもプラスチックの手つくりだった。その研究は大学時代まて続き、和音ができ、フィルターで違う音質を体験した。卒業研究は、電子工作の興味から、「同期放射システム電子加速装置制御回路の設計と実現」テーマを選んだ。

電子機器のテスターからプログラマー、証券C/Sシステムエンジニア

大卒後の初仕事は、商社の商品検査部に配置され、つまらない毎日だった。当時高価な商品ーーパソコンに興味を示し、デモプログラムから、DBASEで社内用販売、経理、ワークフロー最適化等OAシステムまで作った。その能力が買われ、国立研究所に転勤となった。空港管制システムの開発(OSチーム)に配属、リアルタイムOSの研究に没頭、PL/M言語、アセンブラ語の毎日だった。論文「マイコンタイマ割り込みシステムの作成」が研究所年度論文大会で三等賞を獲得、日本への研修の機会も獲得した。UNIX/C, PC-9801-DOS, HP-9000, OS-9/68K, など色々な体験をした。帰国後やはり秋葉原が忘れなく、秋葉原近くの会社にプログラマーとして入社し、再び日本の生活をスタートした。その後証券SEとして、社員UNIX/C研修担当から、C/Sシステムエンジニアへステップアップしてきた。日本ではNEC、富士通、DOS/V三種類のパソコンが存在するため、ハードウェアの差を吸収して、すべてのパソコンで同じプログラムで動くファイル管理ツールが作り、Niftyなどにアップし、ダウンロード数を楽しむ日々もあった。

大学院生からシリコンバレーのEコマースのSE

日本で思うように仕事が選べられるに感動、しかし思われぬ落とし穴もあった。ココムに制限され、プログラマー30歳定年説もあり、将来への不安もあった。知識のリフレッシュ、少年時代からの夢を追い、スペシャリストとして生きるため、電気通信大学大学院に進学した。電子図書館の個人化研究、国立天文台のネット図書館の設計と製作、そしてアルバイト先の依頼で渡米、日米ミュージシャンの遠隔コラボレーションプロジェクトをネットワークを通してサポート、ソフトウェアのローカライズ、さらにインターネット初期のECシステムの構築を担当した。ハードウェアの知識、バイリンガル能力、金融システムの経験がフル発揮して、プロジェクトを成功させた。

VoIPのスペシャリストから、理想なオフショア企業の作りへ

911がアメリカのネットバブルの崩壊を加速した。日本でまた次なるインターネットのトレントを探し、VoIPをターゲットにした。VoIPのハード・ソフトウェア両方を研究し、システムのオフショア開発に関わり、Windows、Linux、さらにNintendo-DSにVoIPの実装を成功させた。日本の電力会社のVoIPシステムの総合テストにも参加し、PerlでSIPログ分析用テストツールを作成し、SIPのやり取りから問題個所特定など、試験の効率化に図った。また携帯電話とクラウドと連携するプロジェクトのブリッジSEとして参加した。オープンソースを利用して、グローバル開発支援環境の構築も推進した。これらのグローバルオフショア経験をもとに中国で理想的なオフショア企業の作りを手掛かり、人員招聘、トレーニング、グローバル開発支援環境の構築、複数プロジェクトの管理に熱中した。オフショア開発を成功させ、日本への納品も好評された。

再び大学院生、博士(人間科学)、Social Service Architectへ

かつてアメリカ長期滞在のため、電気通信大学大学院の研究が結果に結びなく、心の残りになり、その後再度早稲田大学の入学試験パスし、仕事をしながらドクターコースを通学することになった。研究内容も、電子図書館の個人化から一歩進み、Web2.0とその未来の環境へ発展した。しかし、リーマンショックによりオフショア開発の発注が激減、やむ得なく中国の会社を解散した。その後、ドクターコースに専念して、ユビキタス・パーソナル・スタディの研究で、複数の論文を発表して、博士号取得した。いまは個人のモバイル端末と、クラウドをシームレスに連携して、個人の情報収集、管理、組織、共有、推薦環境のプロトタイプ作成し、そしてビジネスに適用するシステムを構築し、Social Service Architectへ進展するところだった。

早稻田大学非常勤講師,第一工业大学准教授, 教授

早稻田大学非常勤講師 担当科目: Web検索; 情報システム演習講義,Javaプログラミング

第一工业大学准教授, 教授 担当科目: C言語プログラミング,モバイル・コンピューティング、ユビキタス・コンピューティング,クラウド・コンピューティング

SELF PR

仕事には山があり、谷があり。山は挑戦、谷は休息。その休憩の時間は僕にとっては知識のリフレッシュのチャンスで、その時間を無駄に過ごすではなく、如何に有効に利用して、自分を充実させ、次の挑戦に備えることは大事である。

バイリンガル能力、Windows、UNIX、MAC、組み込みシステムなど複数プラットフォームの開発経験、そして日本、アメリカ、中国のマルチ文化における仕事経験、さらにプログラマーからSE、スペシャリスト、オフショア企業の創成経歴をベースに、博士のIT社会化テーマ研究を通して、私のキャリアをさらに洗練された。私には、これからの社会に適切なソーシャル・サービスの提供によりをさらに革新していくビジョンがある。必ず新たな価値の創造を実現してみせる。

GOALS

書斎(スタディ, Study)とは“読書や考えごと・執筆などをするための部屋”である。書斎は知識人のシンボル的な存在である。書斎は自由な発想、知識を創造する空間である。文化は書斎に蓄積、書斎により伝承された。

スマートフォン、クラウド技術、ソーシャルネットワーキング、… これらのIT社会化の要素は普及し続ける。人と人の関係を中心とするソーシャルネットワークサービスの登場により、オンライン上で構築した人間関係の中で容易に情報共有をすることができる一方、ユーザが様々なサイトにプロファイルを残し、個人情報は分散、分断される。

私が提案したユビキタス・パーソナル・スタディという理想な個人空間に自分のライフログを蓄積する。巨大なSNSの間で渡り歩きながらの情報活動から、再び「個人書斎」に情報を集中し、自分に適した個人化環境で自分らしい知識作業をするという従来のスタイルをもちながら、情報の共有、推薦もできる環境を構築することが目的。

さらにほしい情報(ソーシャルストリーム(Social Stream))を世界中から引き寄せ、ソーシャル・ユビキタス・パーソナル・スタディ(S-UPS)として発展させ、実世界での情報行動・知識作業とデジタル空間とのシームレスな融合を図った。ライフログ・ソーシャルストリームに隠された価値のある情報のマイニングにより、さまざまな潜在的な価値のある情報や隠れた知見(tacit knowledge)を掘り出す可能性がある。私が提案しているUPSとS-UPSが知識作業を支援する個人化情報ポータルとして情報アクセスの一括管理を可能にし、情報の推薦・共用活用を促進するものと期待できる。

  1. 「個人書斎」のパッケージを開発し、オープンソースソフトウェアとして公開し、OSSの力を利用し、完成、発展させる。個々の「個人書斎」の作り方として、IT技術者なら自分のサーバにインストールして利用してもよい、クラウド業者はこれをサービスとして一般利用者に提供することもできる。
  2. ソーシャルラーニングにおいて、遠隔利用者でも同じ「書斎」に勉強するような環境を作る。友人の「仮想書斎」を訪ね、蔵書をブラウジング、ディスカッションもできる。実空間に同じ場所じなくでも、勉強コースの開始時刻(さらに学年度まで)が違っても、ソーシャルストリームから疑似同期ができ、なにか読む、どこで挫折、どうやって乗り越える、成功の喜び。あたかもラーニングパス(Learning Path)に共に歩むの感じをさせる。ブレンドラーニング(Blended learning)にも効果が期待できる。
  3. 車載ネットワークにおいて、車はモバイル個人空間に言える、既に車載ネットワークに多い場合百個くらいのユニットが搭載で運転情報を処理し、快適ためのマルチメディア系ユニットも増えている。そのモバイル個人空間にS-UPSユニットを車載ネットワークに繋げ、実世界とデジタル空間とのシームレスな融合に大きな力が発揮できると思う。

IT技術を利用して、スペシャリストとして生きる。常にITの最先端の波に乗って、すべての人がその恩恵を余すところなく受けられるデジタル環境を社会に実現させることができれば、と考えている。